本稿では、Windows11/10上で、録画ツールはOBS Studioを使い、ゲームの思い出をより良く残す方法をご紹介します。
OBS Studioって何?
OBS StudioはLain Baileyという方が中心となって作成した、オープンソースのPC画面録画・生放送配信ツールです。今風に書くとPCの画録アプリですね。以前はOBS(Open Broadcaster Software Studio、OBS Classic)という名前でしたが、それを1から書き換えてOBS Studioという名前になりました。2024年現在インターネット上では、OBSと言えば大抵の場合はOBS Studioを指します(文脈によっては大分放送とかオリンピック放送機構かもしれない)。
YouTubeやNvidiaを筆頭に様々な大手IT企業がスポンサーとなって支援されており、2024年6月にはYAMAHAもスポンサーに加わりました。
PCでゲームの録画や生放送の配信だけでなく、在宅ワーク中のビデオ会議ツールで各自のPCの画面を共有する時なんかにも多く用いられる定番ツールです。
OBSの成り立ちや細かい事に関してはこちらのサイトの記事がとても詳しく面白いと思います。
OBS Studio に関するメモ | すたいるのOBS情報メモブログ
OBS Studioのインストール
さっそく下記リンクのOBS公式サイトからOBS Studioをインストールしてみましょう。
※Google検索から調べてアクセスする場合は、トップに表示される「スポンサー」と書かれているものはアクセスせず、その下のスポンサーとは書かれていないサイトにアクセスしてください。有名企業に似た詐欺サイトの広告をGoogleに載せる事で、閲覧者をサイトにアクセスさせる悪質な詐欺がたまにあります。
OBS Studio公式サイト
Windows版を選んでインストーラーをダウンロードし、ダウンロードしたOBS-Studio-xx.x.x-Windows-Installer.exe(xx.x.xの部分はバージョン番号)をダブルクリックで起動し、インストールします。インストール中、特に注意すべき点は無いと思います。
OBS Studioの設定
インストールしたOBS Studioを起動するとこんな感じの画面になります。
シーンの設定
まずは、シーンのブロックの+(シーン追加)をクリックしてシーンを作ります。シーンはどのアプリケーションの画面を、どの音声や透過画像と組み合わせるかなどの設定です。シーンを用途別に作っておけば、いちいち設定を変えずにスムーズに各アプリケーションの映像を録画・配信出来ます。
シーンの名前は用途に応じてわかりやすいように付けましょう。今回は「ゲーム」というシーンを作ってみます。
映像ソースの設定
新しいシーンを作ったら、左下のシーンのブロックからそのシーンを選択し、隣の「ソース」というブロックの+(ソース追加)をクリックします。出てきたメニューから撮りたいアプリに合ったものを選択します。今回はゲーム画面を撮りたいので「ゲームキャプチャ」を選択します。
ソースの名前を決めます。複数のアプリケーションの映像を一度に撮りたい場合はそれぞれソースを作るのでどれがどれかわかりやすい名前を付ける必要があります。今回はシンプルに1つのゲームだけを撮るのでデフォルト名のままOKをクリックします。
次はこのような画面になるので、ソースのプロパティを設定していきます。
まずは「モード」を決めましょう。フルスクリーンで表示されているゲームの映像を録る場合は「フルスクリーンアプリケーションをキャプチャ」で良いのですが、アプリがフルスクリーンに対応してなかったり、コメントを読んだり録画・配信状況を確認したりしながら録りたい場合は「特定のウィンドウをキャプチャ」を選択します。
その後に出る「ウィンドウ」のところに「今開いているアプリケーションの一覧」が出てくるので、そこから録りたいゲームのアプリケーションを選択します(まだ録りたいゲームのアプリケーションを起動してない場合は目当てのゲームを起動させて、OBSのソースのプロパティを開きなおしてください)。好きなゲームの画面を映してみてください。
試しにこちらでは『聖剣伝説 VISIONS of MANA』の体験版の実行ファイルである「[VisionsofMana-Win64-Shippin.exe]: Visions of Mana Demo」を選択しています。
※このゲームに限らず、現在殆どのゲームがアフェリエイトサイトでの画像・動画の使用を許可していない(YouTubeなどでゲーム動画・画像を用いて投稿者の充分なオリジナルコンテンツとして作られている場合のみ利益を得る事は許可されていることが多いようです)ことと、この記事はゲームの紹介ではないため、キャプチャされているゲーム映像部分を塗りつぶしています。
他の項目について今は
・「音声をキャプチャ」にチェックを入れる(デスクトップ音声でも良いのですが、そうすると通知など余計な音が入ってしまいます)
・「カーソルをキャプチャする」かどうかを選ぶ
の箇所だけチェックをつけるか選ぶくらいで良いと思います。
設定を終えたら「OK」をクリックします。
キャプチャしている映像の大きさを変える
キャプチャしている映像の大きさとOBSでのキャンバスのサイズが合っていない場合、OBSに映っている映像ソースの赤枠を引っ張って映像の大きさを調整します。逆に映像キャプチャ部分を中心に置いて四隅に余白を設けたり別の映像を配置するということも出来ます。
音声ミキサーの設定
次は下画像の赤枠内の「音声ミキサー」のブロックを確認します。
※この画像ではゲームの音だけ録りたいのでゲームキャプチャの音だけを取り込むようにしてあります。今回はデスクトップ音声は録らなくていいのでミュートにしてあります。また、こちらではマイクを接続していないのでマイクの音量バーは反応していません。
録りたい音のバーがちゃんと動いていますか?「声も録りたくてマイクを接続しているのにマイクのバーが動いていない!」という場合は、Windowsの「設定」アプリケーションを開き、「システム」→「サウンド」に進んで出てくるサウンド関係の設定画面から設定を確認してください。
試しに録画開始してみよう!
音声ミキサーの確認が終わったら後は下画像のように右下のコントロールのブロックの「録画開始」をクリックすれば録画が始まります。
録画を終了したくなったら同じ位置の「録画終了」をクリックすれば録画が終わり、動画ファイルとして保存されます。
録画したファイルはどこにあるの?
録画した動画ファイルの保存場所は、下画像のように、コントロールブロックの「設定」をクリックし、「出力」の「録画ファイルのパス」に設定されているフォルダです。この設定も自分にとってわかりやすい場所に録画ファイルが保存されるように変更しておくと良いでしょう。
後は保存された動画を確認してみて、録りたい音などがちゃんと入っていたら無事成功です。
画質などもっと詳細なOBS Studioのオススメ設定方法は後日また書きます。
プレイ動画に権利元や自分のアイコンなどを表示させる方法
その前に、ゲーム映像のスクリーンショットやゲーム動画と著作権の話
近年は様々なコンテンツの著作権についての扱いが昔と比べると非常に厳しくなりました。ゲームに関してももちろん、ゲーム機だけでなく、ゲームの映像や画像、テキストなどの権利は全てそのゲームの権利を持っている会社や開発者にあります。そうした著作物を権利者の許諾なくSNSやブログサイト、動画、配信などに勝手に使用すると問題になります。
最近は大手のゲーム会社の作ったゲームの公式サイトにはゲーム映像を使いたい人みんながいちいち許諾をもらう問い合わせをしなくていいように、著作物の使用についてガイドラインを設けてくれている事が多くなりました。ゲームソフトの公式サイトになくてもゲームの権利会社(任天堂など)のサイト上に一括で「うちのゲーム映像を含んだ動画や画像を扱う場合はこうしてね」というガイドラインが設けてあったりします。権利者が個人だったりインディーズの会社の場合、販売プラットフォームのニュースの項目などに書かれている場合もあります。各コンテンツのガイドラインをよく読み、適切に扱えば多分大丈夫です。
権利元を表示させよう
下画像のようにOBS画面のソースのブロックの+(ソース追加)をクリックして、「テキスト(GDI+)」を選択し、ソース名を決めます。わかりやすいように今回は「権利者表記」と名付けてみます。
作ったテキスト(GDI+)ソースのプロパティを開き、表示したい文字列を「テキスト」のフォームに入力します。映像を使うゲームの権利者名の表示をしたい場合、そのゲームの公式サイトのガイドラインに、どのように記入してほしいか書かれているはずなので、それに従ってください。
下画像では、「ほげほげ」という架空の権利者名を表示させています。
表示したい文字列のフォントや大きさを変更するため、「フォント」の行の「フォントを選択」をクリックして、フォントの設定をします。
・「Font」では、フォントの種類を選択します(どのフォントが良いかわからない場合は「メイリオ」が無難で良いと思います)。
・「Font style」は太字や斜め文字にするかどうかです。使わないならレギュラーのままで良いと思います。
・「Size」ではフォントの大きさを決めます。キャプチャ画面上後でソースの枠を引っ張って大きさを変えることもできます。
・「Effencts」はStrikeoutが取り消し線、Underlineが下線を付ける設定です。
・「Writing System」はアルファベット、日本語文字、アラビア文字など、文字のカテゴリーのフォントだけをFontで選べるように出来ます。Japaneseを選べばひらがな・カタカナ・漢字の日本語表記が出来るフォントだけ選べます。
フォントを決めたら、テキストソースのプロパティ画面をスクロールして下に進み、他の設定をしていきます。
・「アンチエイリアス」は有効にすると、文字の輪郭を少しボヤけさせることでカクカクギザギザしてない見やすい表示にできます。
・「垂直方向」にチェックを入れると縦書きになります。
・「色(文字色)」と「背景色」の色や不透明度をそれぞれ調整したり、「輪郭」を付けるようにすると、より視認性の良い表示に出来ます。
試しに「遊Boost」に所属する「NiN」が撮影・録画し、キャプチャしているゲームタイトルを「ほげ太郎が往く」、ゲームの著作権者表示を「©ほげほげ」と仮定した場合の権利者表記をこんな感じに設定してみました。
最近のゲームでは夜や遺跡の中は暗いけど日中の外は明るいといった具合で単色のテキストだとシーンによって見づらくなってしまうため、輪郭と背景色を設定してどんなシーンでもちゃんと権利者名が見えるように設定するのが良いと思います。
アイコンを表示させよう
ついでに、映像に自分のサイトやSNSで使用しているアイコンを表示させても良いかもしれません。
その場合、ソースブロックの+(ソース追加)から「画像」を選択します。
ソース名を入力して画像ソースのプロパティを開き、「参照」で表示させたい画像ファイルを選択、これだけです。
あとはキャンバスに対する各ソースの大きさや位置を調整するだけです。
大きさを変えたいソースがあればキャンバス内に表示されているソースをクリックして出てくる赤枠を引っ張れば好きな大きさに調整出来ますし、掴んで移動させることも出来ます。
大体こんな感じに設定したら、バックグラウンドのゲーム映像と権利者表記やアイコンが見やすくなると思います。
終わりに
今回はOBS Studioを用いたゲーム映像の録画の初歩的な設定について書いてみました。動画投稿や配信に限らず、後でゲームの思い出を振り返ったり、アクションゲームの自分のプレイ映像を振り返る事でより上手くプレイするヒントにしたりといった事が出来ます。
ただし公に動画投稿・生配信する際は
・そのコンテンツの著作権者の権利を侵害しないこと
・一緒に遊んでいる人のキャラや音声が録画される場合に一緒に遊ぶ人の了承を得ること
などによく注意して公開しましょう。
それではこれからも楽しいゲームライフを!
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